令和4年度決算の概要
消防団員等公務災害補償等共済基金の公務災害補償業務及び退職報償金支払業務に係る令和4年度決算について、令和5年6月8日の評議員会の審議、6月15日の理事会の議決を経て、総務大臣へ報告を行いました。
以下、その概要を紹介します。
なお、令和4年度決算に関する各種財務資料については、会計処理に関するアドバイザリー業務委託契約に基づき小見山公認会計士事務所から確認を受けています。
消防団員等公務災害補償等共済基金の公務災害補償業務及び退職報償金支払業務に係る令和4年度決算について、令和5年6月8日の評議員会の審議、6月15日の理事会の議決を経て、総務大臣へ報告を行いました。
以下、その概要を紹介します。
なお、令和4年度決算に関する各種財務資料については、会計処理に関するアドバイザリー業務委託契約に基づき小見山公認会計士事務所から確認を受けています。
基金は、消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律(以下「責任共済法」という。)第2条第1項に定められている消防団員等公務災害補償責任共済契約に基づき、市町村等(市町村又は水害予防組合をいう。以下同じ。)の補償に要する経費を市町村等に支払っている。
令和4年度の損害補償費の支払額は、1,470,088千円(1,559件)で、前年度に比べて249千円の減となっている。その主な要因としては、公務災害発生件数がコロナ前の水準に戻りつつあり療養補償費や休業補償費の支払金額が増加した一方で、新規裁定者がなく失権者のみ生じたため障害補償年金や遺族補償年金の支払金額が減少したことから、全体としては微減となったものである。
令和4年度に新たに損害補償費が支払われた者は、団員(消防団員及び水防団員をいう。以下同じ。)733件(全て負傷)、消防作業従事者等35件(全て負傷)で、前年度に比べて団員346件の増(死亡1件の減、負傷347件の増)、消防作業従事者等7件の増(負傷7件の増)である。
主な補償種目別の支払状況は、次のとおりである。
ア 療養補償費(傷病の治療に必要な費用を支給するもの)として160,107千円(830件(うち新規768件))を支払った。
イ 障害補償費(傷病の治ゆ後に一定の障害が残った者に年金又は一時金を支給するもの)として162,846千円を支払った。うち、年金として154,102千円(83件)、一時金として8,744千円(7件)を支払った。
ウ 遺族補償費(死亡した者の遺族に年金又は一時金を支給するもの)として1,097,707千円(547件、全て年金)を支払った。
また、令和5年度以降の補償年金等の支払に備えて、責任準備金として21,431,707千円(対前年度1,407,373千円の減(6.2%減))を計上している。
① 消防団員等福祉給付事業
消防団員等福祉給付事業は、公務上の災害を受けた団員及び遺族の福祉を増進するため、基金が市町村等に代わって行うものである。
令和4年度の福祉給付事業の支給額は、296,635千円(745件)で、前年度に比べて38,491千円の減となっている。
主な支給種目別の支給状況は、次のとおりである。
ア 奨学援護金として24,094千円(54件)を支給した。
イ 障害特別給付金として33,966千円を支給した。うち、年金として31,885千円(77件)、一時金として2,081千円(7件)を支給した。
ウ 遺族特別給付金として211,513千円(481件、全て年金)を支給した。
また、変動調整準備金として16,280,964千円を計上しているが、このうち4,317,824千円は、令和5年度以降の福祉年金の支給に備えたものである。
② 公務災害防止事業
公務災害防止事業は、団員の公務災害防止に関する活動に対する援助その他の団員の公務災害防止のために必要な事業を行うものである。
令和4年度の公務災害防止事業の支払額は、193,838千円で前年度に比べて9,307千円の増となっている。
その内訳は、次のとおりである。
ア 公務災害防止活動援助事業
団活動中の安全性と行動性を高めるための安全装備品の整備を行った市町村等に対して助成金を交付した(264団体、事業費169,687千円)。
また、団員の循環器系疾患(脳血管疾患・虚血性心疾患)を予防するために保健所と連携した健康増進に係る取組を行った市町村等に対して助成金を交付(5団体、事業費1,157千円)。
イ 公務災害防止対策調査研究事業
順天堂大学との共同研究(令和3年度から3か年計画)によって開発した負傷防止プログラムをPRするためのポスター・リーフレットを作成し、全国に配布した(事業費4,579千円)。
ウ 公務災害防止対策普及推進事業
団員の公務災害防止のために、次の(ア)から(エ)に掲げる研修を行った市町村等に対し、講師のあっせんや教材の提供を行うとともに、助成金を交付した(事業費16,838千円)。
令和2年度以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、研修会実施回数が大幅に減少しており、令和4年度においては回復傾向(75回:前年比52回の増)にあるものの、平年度と比較すると低水準にとどまった。
また、(ア)及び(イ)の研修の講師となる指導員を養成した(事業費1,401千円)。なお、以上の研修を行うに当たっては、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じることを市町村等に確認するとともに、講師にPCR検査キットを送付して事前・事後に感染のないことを確認するなど、感染の拡大防止に細心の注意を払った。
そのほか、ホームページ等で団員の公務災害防止に関する情報提供を行った(事業費177千円)。
(ア) 消防団員安全管理セミナー
団員の安全確保と健康増進の重要性の認識及び理解を深め、団員全体への啓発普及を図る研修。延べ24回、1,983人。
(イ) S-KYT(消防団危険予知訓練)研修
団活動に潜む危険を予知するとともに、その危険に適切に対応できる能力を養成するためのS-KYT(消防団危険予知訓練)の基礎知識とその実技を習得する研修。特に、実技での感染リスクを抑えるため、班の人数の制限や人と人の間隔の確保を図るなどの対策を講じた。延べ32回、1,488人。
(ウ) 消防団員健康づくりセミナー
団活動による循環器系疾患(脳血管疾患・虚血性心疾患)の防止を図るための健康増進教育を行うとともに、健康増進に役立つ運動実技を習得する研修。延べ11回、863人。
(エ) 消防団員セーフティ・ファーストエイド研修
災害現場等で負傷者の応急処置を行う際に自身の安全を確保した上で適切に対応できるようにファーストエイド(外科的応急処置)の基礎知識とその実技を習得するとともに、災害現場等での悲惨な体験や恐怖を伴う体験により急性ストレス障害が発生した団員に適切に対応できるようにPFA(心理的応急処置)の基礎知識とその実技を習得する研修。(イ)と同様に、実技での感染リスクを抑えるため、班の人数の制限や人と人の間隔の確保を図るなどの対策を講じた。延べ8回、582人。
③ 自動車等損害見舞金支給事業
火災、水災などの緊急時に団員がその所有する自動車等で災害現場へ出動し、車両に損害を受けた場合又は平常時にやむを得ず当該自動車等を団活動に直接使用し、又は使用させたとき、車両に損害を受けた場合の見舞金として7,800千円(87件)を支給した。
① 市町村特別交付金事業
昭和57年度以前の消防作業従事者等に係る損害補償について、市町村等はその全額を補償しているが、基金は、消防団員等公務災害補償責任共済事業において、補償に要する経費のうち2分の1を市町村等に対し支払うこととされているため、残りの2分の1相当額を市町村等に対し交付した(事業費39,561千円)。
② 実務研修会の実施
公務災害補償制度及び公務災害防止対策の必要性への理解を深め、その運用等について市町村等の担当職員の事務処理の適正化を期するため、都道府県、消防関係組合等と連携して実務研修会を実施している。
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じたうえ、前年度比15か所増の23か所で実施した(平年度30か所程度開催)。
(退職報償金支払業務と同時開催)
基金は、責任共済法第2条第2項に定められている消防団員退職報償金支給責任共済契約に基づき、市町村の退職報償金の支給に要する経費を市町村に支払っている。
1人当たりの支給額は階級及び勤務年数により異なり、例えば階級が団長の場合に239千円から979千円まで、階級が団員の場合に200千円から689千円までとなっている。
令和4年度の退職報償金の支払額は、17,184,980千円(43,065人)で、前年度に比べて2,184,331千円(5,668人)の増となっている。その内訳は、当年度に退職した者に係る支払額(現年度退職報償金)が4,489,624千円(11,473人)で、前年度に比べて563,815千円(1,491人)の増、前年度以前に退職した者に係る支払額(過年度退職報償金)が12,695,356千円(31,592人)で、前年度に比べて1,620,516千円(4,177人)の増となっている。
また、令和4年度までに既に退職した者の退職報償金で、今後、市町村から基金に対し請求が行われるものに備えて、未払給付引当金11,479,558千円を計上している。
退職報償金制度の理解を深め、その運用等について市町村等の担当職員の事務処理の適正化を期するため、都道府県、消防関係組合等と連携して実務研修会を実施している。
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じたうえ、前年度比15か所増の23か所で実施した(平年度30か所程度開催)。
(公務災害補償業務と同時開催)。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、令和3年度に引き続き、令和4年度も、例年実施してきた次の会議を中止した。
令和4年度末において基金と契約を締結している団体の関係市町村(消防団員等公務災害補償事務を単独で行っている市町村又は一部事務組合で行っている場合のその構成市町村)の数は1,677であり、全国の契約対象市町村数1,719に対する比率は97.6%である。
関係市町村の数、人口、消防団員の定員、水防団員の定員及び水害予防組合の組合員数は、次のとおりである。
区分 | 令和4年度 | 令和3年度 | 比較増減 |
---|---|---|---|
関係市町村の数 | 1,677 | 1,677 | 0 |
市 | 763 | 763 | 0 |
町村 | 914 | 914 | 0 |
人口 | 人 | 人 | 人 |
消防従事者分 | 123,595,672 | 124,503,627 | △907,955 |
水防従事者分 | 122,803,082 | 123,708,583 | △905,501 |
団員 | 人 | 人 | 人 |
消防団員の定員 | 882,743 | 887,615 | △4,872 |
水防団員の定員 | 16,223 | 18,057 | △1,834 |
水害予防組合の組合員 | 317,455 人 | 318,136 人 | △681 人 |
(注)令和4年度の欄中、関係市町村の数は、令和5年3月31日現在の数、消防従事者人口は、関係市町村の令和2年10月1日現在の国勢調査人口(確定値)、水防従事者人口は、関係市町村の令和2年10月1日現在の国勢調査人口(確定値)に基づく人数、消防団員の定員は、関係市町村の令和3年10月1日現在の定員、水防団員の定員は、関係市町村及び契約水防事務組合の令和3年10月1日現在の定員、水害予防組合の組合員は、契約水害予防組合の令和3年10月1日現在の組合員数である。
令和4年度末において基金と契約を締結している団体の関係市町村(消防団員退職報償金支給事務を単独で行っている市町村又は一部事務組合で行っている場合のその構成市町村)の数は1,719であり、全国の契約対象市町村数1,719に対する比率は100%である。
関係市町村の数及び消防団員の定員は、次のとおりである。
区分 | 令和4年度 | 令和3年度 | 比較増減 |
---|---|---|---|
関係市町村の数 | 1,719 | 1,719 | 0 |
市 | 793 | 793 | 0 |
町村 | 926 | 926 | 0 |
消防団員の定員 | 894,856 人 | 902,678 人 | △7,822 人 |
(注)令和4年度の欄中、関係市町村の数は、令和5年3月31日現在の数、消防団員の定員は、関係市町村の令和3年10月1日現在の定員である。