令和5年度決算の概要
消防団員等公務災害補償等共済基金の公務災害補償業務及び退職報償金支払業務に係る令和5年度決算について、令和6年6月6日の評議員会の審議、6月14日の理事会の議決を経て、総務大臣へ報告を行いました。
以下、その概要を紹介します。
なお、令和5年度決算に関する各種財務資料については、会計処理に関するアドバイザリー業務委託契約に基づき小見山公認会計士事務所から確認を受けています。
消防団員等公務災害補償等共済基金の公務災害補償業務及び退職報償金支払業務に係る令和5年度決算について、令和6年6月6日の評議員会の審議、6月14日の理事会の議決を経て、総務大臣へ報告を行いました。
以下、その概要を紹介します。
なお、令和5年度決算に関する各種財務資料については、会計処理に関するアドバイザリー業務委託契約に基づき小見山公認会計士事務所から確認を受けています。
基金は、消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律(以下「責任共済法」という。)第2条第1項に定められている消防団員等公務災害補償責任共済契約に基づき、市町村等(市町村又は水害予防組合をいう。以下同じ。)の補償に要する経費を市町村等に支払っている。
令和5年度の損害補償費の支払額は、1,453,524千円(1,714件)で、前年度に比べて16,564千円の減となっている。その主な要因としては、公務災害発生件数がコロナ禍前の水準に戻りつつあり、療養補償費の支払額が増加した一方で、失権により受給者数が減少したため障害補償年金や遺族補償年金の支払額が減少したことから、全体として減少となったものである。
令和5年度に新たに損害補償費が支払われた者は、団員(消防団員及び水防団員をいう。以下同じ。)885件(全て負傷)、消防作業従事者等32件(全て負傷)で、前年度に比べて団員152件の増(負傷152件の増)、消防作業従事者等3件の減(負傷3件の減)である。
主な補償種目別の支払状況は、次のとおりである。
ア 療養補償費(傷病の治療に必要な費用を支給するもの)として191,128千円(992件(うち新規917件))を支払った。
イ 障害補償費(傷病の治ゆ後に一定の障害が残った者に年金又は一時金を支給するもの)として160,371千円を支払った。うち、年金として145,936千円(81件)、一時金として14,435千円(8件)を支払った。
ウ 遺族補償費(死亡した者の遺族に年金又は一時金を支給するもの)として1,058,466千円(525件、全て年金)を支払った。
また、令和6年度以降の補償年金等の支払に備えて、責任準備金として20,297,494千円(対前年度1,134,213千円の減(5.3%減))を計上している。
① 消防団員等福祉給付事業
消防団員等福祉給付事業は、公務上の災害を受けた団員及び遺族の福祉を増進するため、基金が市町村等に代わって行うものである。
令和5年度の福祉給付事業の支給額は、310,965千円(729件)で、前年度に比べて14,330千円の増となっている。その主な要因としては、特別給付金の支給額が減少した一方で、一時金として遺族特別援護金等を支給したことから、全体として増加となったものである。
主な支給種目別の支給状況は、次のとおりである。
ア 奨学援護金として17,050千円(47件)を支給した。
イ 遺族特別援護金として17,950千円(1件)を支給した。
ウ 障害特別給付金として32,432千円を支給した。うち、年金として30,420千円(75件)、一時金として2,012千円(6件)を支給した。
エ 遺族特別給付金として204,427千円(464件、全て年金)を支給した。
また、変動調整準備金として17,658,677千円を計上しているが、このうち4,092,443千円は、令和6年度以降の福祉年金の支給に備えたものである。
② 公務災害防止事業
公務災害防止事業は、団員の公務災害防止に関する活動に対する援助その他の団員の公務災害防止のために必要な事業を行うものである。
令和5年度の公務災害防止事業の支払額は、196,506千円で前年度に比べて2,668千円の増となっている。
その内訳は、次のとおりである。
ア 公務災害防止活動援助事業
団活動中の安全性と行動性を高めるための安全装備品の整備を行った市町村等に対して助成金を交付した(273団体、事業費168,007千円)。
また、団員の循環器系疾患(脳血管疾患・虚血性心疾患)を予防するために保健所等と連携した健康増進に係る取組を行った市町村等に対して助成金を交付した(5団体、事業費1,131千円)。
イ 公務災害防止対策調査研究事業
消防団員の負傷防止のために行った順天堂大学との共同研究をとりまとめた報告書を作成し、消防基金のホームページで公開した(事業費968千円)。
ウ 公務災害防止対策普及推進事業
団員の公務災害防止のために、次の(ア)から(エ)に掲げる研修を行った市町村等に対し、講師のあっせんや教材の提供を行うとともに、助成金を交付した(事業費24,333千円)。
令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研修会実施回数が大幅に減少しているが、令和5年度においては、同感染症が5類に移行したこと等により実施回数が増加している(延べ108回:前年度比33回の増)。
また、(ア)、(イ)及び(エ)の研修の講師となる指導員を養成した(事業費1,928千円)。
そのほか、ホームページ等で団員の公務災害防止に関する情報提供を行った(事業費139千円)。
(ア) 消防団員安全管理セミナー
団員の安全確保と健康増進の重要性の認識及び理解を深め、団員全体への啓発普及を図る研修(延べ33回、2,981人(前年度比9回の増))。
(イ) S-KYT(消防団危険予知訓練)研修
団活動に潜む危険を予知するとともに、その危険に適切に対応できる能力を養成するためのS-KYT(消防団危険予知訓練)等の基礎知識とその実技を習得する研修(延べ48回、2,253人(前年度比16回の増))。
(ウ) 消防団員健康づくりセミナー
団活動による循環器系疾患(脳血管疾患・虚血性心疾患)の防止を図るための健康増進教育を行うとともに、健康増進に役立つ運動実技を習得する研修(延べ17回、1,466人(前年度比6回の増))。
(エ) 消防団員セーフティ・ファーストエイド研修
災害現場等で負傷者の応急処置を行う際に、自身の安全を確保した上で適切に対応できるよう、ファーストエイド(外科的応急処置)等の基礎知識とその実技を習得する研修(延べ10回、876人(前年度比2回の増))。
③ 自動車等損害見舞金支給事業
火災、水災などの緊急時に団員がその所有する自動車等で災害現場へ出動し、車両に損害を受けた場合又は平常時にやむを得ず当該自動車等を団活動に直接使用し、又は使用させたとき、車両に損害を受けた場合の見舞金として6,235千円(67件)を支給した。
① 市町村特別交付金事業
昭和57年度以前の消防作業従事者等に係る損害補償について、市町村等はその全額を補償しているが、基金は、消防団員等公務災害補償責任共済事業において、補償に要する経費のうち2分の1を市町村等に対し支払うこととされているため、残りの2分の1相当額を市町村等に対し交付した(事業費36,524千円)。
② 実務研修会の実施
公務災害補償制度及び公務災害防止対策の必要性への理解を深め、その運用等について市町村等の担当職員の事務処理の適正化を期するため、基金は、都道府県、消防関係組合等と連携して実務研修会を実施している。
令和5年度は、前年度と同数の23か所で実施した。
(退職報償金支払業務と同時開催)
基金は、責任共済法第2条第2項に定められている消防団員退職報償金支給責任共済契約に基づき、市町村の退職報償金の支給に要する経費を市町村に支払っている。
1人当たりの支給額は階級及び勤務年数により異なり、例えば階級が団長の場合に239千円から979千円まで、階級が団員の場合に200千円から689千円までとなっている。
令和5年度の退職報償金の支払額は17,789,366千円(43,665人)で、1人当たりの平均支払額は407千円となっている。前年度と比較すると、604,386千円(600人)の増で、1人当たりの平均支払額は8千円の増となっている。支払額の内訳は、当年度に退職した者に係る支払額(現年度退職報償金)が4,294,209千円(10,703人)で、前年度に比べて195,415千円(770人)の減、前年度以前に退職した者に係る支払額(過年度退職報償金)が13,495,157千円(32,962人)で、前年度に比べて799,801千円(1,370人)の増となっている。
なお、令和5年度の掛金収入額は16,923,878千円で、前年度に比べて257,357千円減少している。
令和5年度までに既に退職した者の退職報償金で、今後、市町村から基金に対し請求が行われるものに備えて、未払給付引当金13,495,157千円を計上している。前年度の未払給付引当金の不足額を考慮し、前年度に比べて2,015,599千円多く引き当てている。
また、将来の支払額の急激な増に備えて、変動調整準備金として22,152,859千円を計上している。未払給付引当金の増額、収支差865,488千円等により、前年度に比べて2,797,529千円減少している。
退職報償金制度の理解を深め、その運用等について市町村等の担当職員の事務処理の適正化を期するため、都道府県、消防関係組合等と連携して実務研修会を実施している。
令和5年度は、前年度と同数の23か所で実施した。
(公務災害補償業務と同時開催)
令和5年度末において基金と契約を締結している団体の関係市町村(消防団員等公務災害補償事務を単独で行っている市町村又は一部事務組合で行っている場合のその構成市町村)の数は1,677であり、全国の契約対象市町村数1,719に対する比率は97.6%である。
関係市町村の数、人口、消防団員の定員、水防団員の定員及び水害予防組合の組合員数は、次のとおりである。
区分 | 令和5年度 | 令和4年度 | 比較増減 |
---|---|---|---|
関係市町村の数 | 1,677 | 1,677 | 0 |
市 | 763 | 763 | 0 |
町村 | 914 | 914 | 0 |
人口 | 人 | 人 | 人 |
消防従事者分 | 123,595,672 | 123,595,672 | 0 |
水防従事者分 | 122,803,082 | 122,803,082 | 0 |
団員 | 人 | 人 | 人 |
消防団員の定員 | 871,440 | 882,743 | △11,303 |
水防団員の定員 | 15,572 | 16,223 | △651 |
水害予防組合の組合員 | 321,393 人 | 317,455 人 | 3,938 人 |
(注)令和5年度の欄中、関係市町村の数は、令和6年3月31日現在の数、消防従事者人口は、関係市町村 の令和2年10月1日現在の国勢調査人口(確定値)、水防従事者人口は、関係市町村の令和2年10月1日現在の国勢調査人口(確定値)に基づく人数、消防団員の定員は、関係市町村の令和4年10月1日現在の定員、水防団員の定員は、関係市町村及び契約水防事務組合の令和4年10月1日現在の定員、水害予防組合の組合員は、契約水害予防組合の令和4年10月1日現在の組合員数である。
令和5年度末において基金と契約を締結している団体の関係市町村(消防団員退職報償金支給事務を単独で行っている市町村又は一部事務組合で行っている場合のその構成市町村)の数は1,719であり、全国の契約対象市町村数1,719に対する比率は100%である。
関係市町村の数及び消防団員の定員は、次のとおりである。
区分 | 令和5年度 | 令和4年度 | 比較増減 |
---|---|---|---|
関係市町村の数 | 1,719 | 1,719 | 0 |
市 | 793 | 793 | 0 |
町村 | 926 | 926 | 0 |
消防団員の定員 | 881,452 人 | 894,856 人 | △13,404 人 |
(注)令和5年度の欄中、関係市町村の数は、令和6年3月31日現在の数、消防団員の定員は、関係市町村の令和4年10月1日現在の定員である。