コラムColumn

  1. ホーム
  2. コラム
  3. 【紫波町】消防団員安全管理セミナーを実施して

【紫波町】消防団員安全管理セミナーを実施して



岩手県紫波町消防団

紫波町は昭和30年(1995年)に1町8カ村が合併し誕生しました。岩手県のほぼ中央、盛岡市と花巻市の中間に位置し、北上川が中央を流れ、東は北上高地、西は奥羽山脈までの総面積238.98㎢の町です。国道4号など6本の幹線が町を南北に走り、インターチェンジや3つのJRの駅があるなど、交通の便に恵まれています。

町は大きく分けて中央部、西部、東部の各地域に区分されます。町の中央部は「オガールプロジェクト」と呼ばれる開発で、駅前の町有地10.7ヘクタールを中心に、図書館、多目的ホール、カフェ、産直マルシェ、子育て支援センター、病院、居酒屋などが入居する官民複合施設や、日本国内でも珍しいバレーボール専用体育館があるホテルなどがオープンし、全国から視察を受け入れています。西部には温泉施設があり、全国有数の生産量を誇るもち米、そばや麦が作られており、東部ではリンゴやブドウの栽培が盛んです。また、南部杜氏発祥の地であり、造り酒屋4社のほか、ワイナリー1社、サイダリー2社がある地酒の町です。

shiwa_001.jpg

紫波町消防団は昭和30年(1955年)4月1日、当時の1町8カ村が合併して紫波町となることに伴い、旧町村単位を分団とし、従来の分団を部制にし、1本部(13名)9分団・41部・団員数1,382名で発足しました。

令和5年4月1日現在、1本部12分団、団員数489名で構成しており消防ポンプ自動車14台、小型動力ポンプ積載車21台の合計35台が配備されております。

主な活動としては、消防演習、消防操法競技会、消防出初式、中継送水訓練、また火災予防広報活動を実施し、町民の生命・身体・財産を守るため、日頃から消防団活動に取り組んでいます。特に昨年11月には、初めて消防団フェスティバルを開催し、ラッパ隊による吹奏楽、団員による寸劇、消防車の搭乗体験、起震車体験、放水体験、煙体験、フリーマーケット、スタンプラリーなど、消防団に親しみを持ってもらいながら防火意識を高めることができました。

shiwa_002.JPG

当消防団では、消防団員の健康管理に対する意識を高め健康増進につなげることが必要との考えから、平成28年と平成30年に「健康づくりセミナー」を開催し、また、平成29年には、団員一人一人が危険に対する予知能力を高め事故を防止するため「S-KYT(消防団危険予知訓練)研修」、令和元年には、負傷した団員の応急処置と惨事ストレスの知識習得のため「セーフティ・ファーストエイド研修」を開催した経緯があります。コロナ禍のため、令和2年から開催を見合わせていましたが、これまでの実施後のアンケートが大変好評だったことから、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことをきっかけに、今回の開催に至りました。

当消防団の団員の平均年齢は48.6歳と高齢化が進んでいる中、災害時に十分な消防力を発揮するためには、消防団員の技能訓練はもとより、心身における健康状態が良好であること、活動における安全確保が重要なため、消防団員一人一人の安全管理に対する意識を高め、健康増進に役立つ知識を効果的に習得することが継続的に必要と考え、前回好評を博した「健康づくりセミナー」に続き、「安全管理セミナー」を開催いたしました。

消防演習を終えて、総合防災訓練実施までの比較的農作業が落ち着く7月23日に開催し、班長以上の幹部のほか、女性消防団員研修を兼ね対象範囲を広げて参加者を募り、90名が受講しました。

shiwa_003.JPG

研修は2時間コースで、元盛岡地区広域消防組合の消防署長としてご活躍されたS-KYT指導員の畠山昇氏が講師を務められ、事故の発生状況から事故発生の仕組み、予防策などについてわかりやすく説明いただきました。

事故の予防策では、5つのアプローチとして、 日ごろの健康管理、消防団に必要な知識を身に着けるための教育訓練の実施、機械器具の不具合による事故を防止するための点検整備、隊を統率するための指揮命令系統の重要性、分団内の良好な雰囲気づくりが大切であること、そして、こうしたことが普段から自然にできるようにするためのきっかけとして、分かりやすく講義いただきました。

また、これら5つのアプローチのどれが欠けても事故を引き起こす原因になるため、普段から安全管理の考え方を習慣づける必要があり、指差しと声出しによる安全確認の手法として、"指差し呼称"の動作を全員にその場で体験させるなど、実践力を身につけるための工夫が施された講義内容でした。

同日のセミナーには、YouTubeチャンネル『ダニエル・カールの消防基金チャンネル』が取材に訪れ、ダニエル・カール氏も指差し唱和を一緒に実践するなど会場を盛り上げていただきました。当日の様子は、YouTubeチャンネルで皆さんも是非ご覧になってみてください。

参加した団員は、「普段の生活でおろそかにしてしまっているが、大切なことを再認識できた。」と活動に対する心構えなどの認識を新たにした様子でした。

shiwa_004.jpg

実施後のアンケートでは、「普段から実践したい」、「部でも研修会を開きたい」、「様々な活動で生かしたい」、「参加できなかった団員にも受講させたい」といった内容があり、消防団活動のために役立つ大変有意義な研修会となりました。今回は消防団幹部と女性消防団員が対象の開催となりましたが、より多くの団員に受講していただきたいため、今後も継続的に開催していきたいと思います。

最後に、このような研修制度を構築していただいた消防団員等公務災害補償等共済基金に対しまして、厚く御礼申し上げますとともに、研修にご協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

PAGE TOP