令和2年度中に発生した消防団員の公務による負傷者及び疾病者(以下「負傷者等」といいます)の人数は、369人(うち殉職者0人)となっています。令和2年度については、新型コロナウイルス感染防止の観点より演習訓練等の平時の活動を自粛する動きが広まったことから、例年に比べ負傷者等の人数が大幅に減少しています。
※令和3年度末までに基金が支払った人数です。
(参考)
令和3年度中に発生した消防団員の公務による負傷者等の人数は、速報値(令和4年8月末までに支払った人数)で、364人となっています。
活動態様を「非常時」と「平常時」に大別すると、「平常時」に発生した公務災害は全体の約45%で、「非常時」の公務災害は約55%となっています。
活動別に見ると、「消火活動」中の事故が最も多く(172人、46.6%)、次いで「演習訓練」(77人、20.9%)となっています(図1)。
図1 活動態様別公務災害発生状況
消火活動では、消防ホースや側溝などに足を取られて転倒する、足をくじく、釘を踏み抜く、などの事故が見られます。
演習訓練時の事故発生状況を詳しく見ると、次のとおりです。
演習訓練での負傷者等は77人です。このうち、20人がポンプ操法の動きによる事故(熱中症含む。)で26.0%でした(図2)。
図2 演習訓練中の公務災害発生内訳
また、演習訓練時の負傷者等を事故の型別で見ると、「動作の反動」による災害が22人と全体の28.6%を占め、これに「転倒」(19人、24.7%)、「激突」(16人、20.8%)が続きます(図3)。
図3 演習訓練時における負傷者等の事故型別人数
次に、傷病部位別で見ると、「下肢」が25人で全体の32.5%を占め、次に「頭部」及び「胴体」(15人、19.5%)の順になっています(図4)。
図4 演習訓練時における負傷等の傷病部位別人数
傷病名別の人数では、「打撲傷・挫傷」が30人で全体の42.3%を占め、次いで「骨折」(17人、23.9%)、「創傷」(11人、15.5%)の順になっています(図5)。
図5 演習訓練時における負傷者等の傷病名別人数
なお、演習訓練時の事故事例をいくつかあげますと、次のとおりです(表)。
事故の型 | 事故内容 |
---|---|
動作の反動 | 消防操法大会の小型ポンプ操法訓練中、指揮者として「操作始め」の号令をかけ、折りひざの姿勢で筒先を取った後背負い、進行方向に向きを変えて発進しようと立ち上がり2、3歩動いた際、左下腿肉に痛みを感じた。(左下腿肉離れ、左下腿皮下血種) |
転倒 | ポンプ車操法大会に向けての訓練中、3番員として吸管を延長するため、4番員とともに吸管を持って車両後方に走り始めた際、吸管が吸管フックに引っ掛かり、勢いでバランスを崩し、左肩から地面に転倒した。(左肩打撲傷、左肩腱板損傷) |
はさまれ・巻き込まれ | 操法練習中、積載車からの下車の動作練習をしていた際、自身で車の扉を閉め、左手人差し指を挟み負傷した。(左手打撲、左示指挫滅創) |
つまずき | 総合水防演習にて、水防マット工法を実施するため、整列位置から工法実施場所へ駆け足で移動していたところ、堤防の斜面のくぼみに足を取られ、右足首を捻った。(右足関節捻挫) |
激突 | 小型ポンプ操法大会に向けての訓練中、使用するホースを確認しようとしたところ、ホースがしっかり巻かれていなかったため、巻き直そうとホースを展開する際、ホース金具が左頭頂部にあたり負傷した。(頭部挫創) |
消防団員の公務災害はいつでもどこでも起こり得ます。
消防基金は公務災害防止のために、4種類の研修事業(「消防団員安全管理セミナー」「S-KYT(消防団危険予知訓練)研修」「消防団員健康づくりセミナー」「消防団員セーフティ・ファーストエイド研修」)を推進しており、市町村等の行う研修を積極的に助成・後援しています。消防団員の安心・安全を守るため、ぜひ当基金の研修事業をご利用ください。
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