Ⅰ 公務災害補償業務に係る分
ⅰ 事業計画概要
1 事業内容
消防団員等公務災害補償を的確に実施し、消防団員及び住民等による消防活動、水防活動その他の防災活動に係る環境を整備するため、次の事業を行う。
(1) 消防団員等公務災害補償責任共済事業
基金は、消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律第2条第1項に定められている消防団員等公務災害補償責任共済契約に基づき、市町村等(市町村又は水害予防組合をいう。以下同じ。)の補償に要する経費を市町村等に支払う。
平成30年度の損害補償費の予定額は1,780百万円で、このうち主な補償種目別の予定額は、次のとおりである。
ア 療養補償費(傷病の治療に必要な費用を支給するもの) 249百万円
イ 障害補償費(傷病の治ゆ後に一定の障害が残った者に年金又は一時金を支給するもの) 209百万円
ウ 遺族補償費(死亡した者の遺族に年金又は一時金を支給するもの) 1,256百万円
また、平成31年度以降の補償年金等の支払に備えて、責任準備金として20,929百万円を計上する。
(2) 消防団員等福祉事業
市町村等に代わって、公務上の災害を受けた団員及びその遺族の福祉を増進するための福祉給付事業、団員の公務災害を防止するために必要な事業並びに団活動における自動車等の損害に対する見舞金の支給を行う。
平成30年度の事業種目別の予定額は、次のとおりである。
- ① 消防団員等福祉給付事業 465百万円
- ア 団員の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業(補装具、アフターケア等費用の支給)
- イ 団員及びその遺族の援護を図るために必要な資金を支給する事業(奨学援護金、特別援護金、特別給付金(年金又は一時金)等の支給)
- また、将来の災害等に備えるための変動調整準備金として15,896百万円を計上しているが、このうち4,172百万円は、平成31年度以降の福祉年金の支給に備えたものである。
- ② 公務災害防止事業 246百万円
-
- ア 消防団員安全装備品整備等助成事業
- 団員の活動の際に身体的安全を確保するために安全装備品の整備等を実施する市町村に対して助成金等を交付する。
- イ 公務災害防止対策調査研究事業
- 団員の公務災害(循環器系疾患)の防止に向け、団員の健康増進のための事業の充実を検討する。この一環として、全国の消防団等における公務災害防止の取組事例の収集・分析を行う。
- ウ 公務災害防止対策普及推進事業
- 団員の公務災害防止のために、次の4つの研修((ア)、(イ)、(ウ)、(エ))を行う市町村などの関係団体に対して助成等を行うとともに、S-KYT研修の講師(S-KYT指導員)を養成するほか、ホームページ等による情報提供を行う。
-
- (ア) 消防団員安全管理セミナー
- 団員の安全管理と健康管理の重要性の認識及び理解を深め、団員全体への啓発普及を図る研修を行う。
- (イ) S-KYT(消防団危険予知訓練)研修
- 団員が活動中の危険を予知し、危険に対して適切に対応する手法を習得する研修を行う。
- (ウ) 消防団員健康づくりセミナー
- 団員が活動中に発症する脳血管疾患・虚血性心疾患等の防止を図るための知識や健康増進に役立つ運動実技を習得する研修を関係機関とも連携しつつ行う。
- (エ) 消防団員セーフティ・ファーストエイド研修
- 大規模災害時における消防団員の活動について、次の二点の研修を行う。
- 大規模災害時における消防団員の初動活動において、自身の安全を確保し、適切に対応できる能力を養成するため、ファーストエイド(応急手当)の基礎知識とその実技を習得する研修
- 団員が大規模災害現場で凄惨な場面に遭遇し、急性ストレス障害を発病することが危惧されることから、PFA(心理的応急処置)・惨事ストレス対策についての知識と対応を習得する研修
- ③ 自動車等損害見舞金支給事業 8百万円
- 火災、水災などの緊急時に団員がその所有する自動車等で災害現場へ出動し、車両に損害を受けた場合又は平常時にやむを得ず当該自動車等を団活動に直接使用し、又は使用させたとき、車両に損害を受けた場合に見舞金を支給する。
(3) その他の事業
- ① 市町村特別交付金事業 52百万円
- 昭和57年度以前の消防作業従事者等に係る損害補償について、市町村等はその全額を補償しているが、基金は、消防団員等公務災害補償責任共済事業において、補償に要する経費のうち2分の1を市町村等に対し支払うこととされているため、残りの2分の1相当額を市町村等に対し交付する。
- ② 実務研修会の実施
- 公務災害補償制度及び公務災害防止対策の必要性への理解を深め、その運用等について市町村等の担当職員の事務処理の適正化を期するため、実務研修会を実施する。
2 契約締結状況・消防団員等の定員・人口等
区分 | 数 | 備考 |
---|---|---|
契約市町村等 | ||
市町村 | 612 | 内訳:378市、234町村 |
消防関係組合 | 31 | 構成団体:330市、648町村 |
水防事務組合 | 9 | |
水害予防組合 | 1 | |
計 | 653 | 関係市町村の数:1,590(708市、882町村) |
団員 | 千人 | |
消防団員の定員 | 849.3 | 関係市町村の平成29年10月1日現在の定員 |
水防団員の定員 | 17.9 | 関係市町村及び契約水防事務組合の平成29年10月1日現在の定員 |
人口 | 千人 | |
消防従事者関係 | 117,746.9 | 関係市町村の平成27年10月1日現在の国勢調査人口(確定値) |
水防従事者関係 | 116,951.8 | 関係市町村の平成27年10月1日現在の国勢調査人口(確定値)に基づく人数 |
組合員 | 千人 | |
水害予防組合の組合員数 | 307.2 | 契約水害予防組合の平成29年10月1日現在の組合員数 |
(備考)
- 前年度と比べて、消防団員の定員は約2.1千人の減、水防団員の定員は約0.2千人の減、水害予防組合の組合員数は約3.8千人の増となる。
- 契約を締結している市町村数1,590の全国の契約対象市町村数1,719に対する比率は92.5パーセントである。契約を締結していない市町村数は129(茨城県42、埼玉県57、新潟県30)であり、基金は平成30年度においても未契約団体に対する契約締結についての働きかけを引き続き促進する。
3 予定利益
区分 | 平成30年度予定額 | 平成29年度予定額 | 対前年度比較増減 |
---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | |
(1) 掛金 (注) | 2,060,445 | 2,064,794 | △4,349 |
消防団員分 | 1,613,670 | 1,617,660 | △3,990 |
水防団員分 | 34,010 | 34,390 | △380 |
消防従事者分 | 235,494 | 235,495 | △1 |
水防従事者分 | 175,428 | 175,429 | △1 |
水害予防組合員分 | 1,843 | 1,820 | 23 |
(2) 利息 | 423,864 | 436,766 | △12,902 |
(3) 責任準備金戻入 | 990,678 | 1,009,289 | △18,611 |
予定利益合計 | 3,474,987 | 3,510,849 | △35,862 |
(注)掛金の30年度予定額
消防団員分 1,900円 × 849.3千人
水防団員分 1,900円 × 17.9千人
消防従事者分 2円 × 117,746.9千人
水防従事者分 1.5円 × 116,951.8千人
水害予防組合員分 6円 × 307.2千人
5 剰余金予定額 0円
当期中における利益及び損失の予定額は、それぞれ3,474,987千円であるので、当期剰余金は生じない見込みである。
6 資金運用計画
区分 | 平成30年度 の運用計画 | 平成29年度 の運用状況 | 比較増減 |
---|---|---|---|
百万円 | 百万円 | 百万円 | |
有価証券(短期) | 2,400 | 2,100 | 300 |
有価証券(当年度償還の長期有価証券) | 2,400 | 2,100 | 300 |
投資有価証券 | 36,300 | 36,300 | 0 |
国債・地方債 | 29,600 | 28,800 | 800 |
政府保証債 | 100 | 100 | 0 |
財投機関債 | 4,000 | 4,000 | 0 |
その他の有価証券 | 2,600 | 3,400 | △800 |
合計 | 38,700 | 38,400 | 300 |
年度末保有予定額 | 36,300 | 36,300 | 0 |
(備考)金額は、額面によって表示している。
ⅱ 予算総則
1 重要な資産の取得又は処分に関する事項
該当なし
2 繰越不足金の補てんに関する事項
該当なし
3 資産の構成に関する事項
資産の構成は、次のとおりとする。
区分 | 平成30年度予定額及び構成比 | 平成29年度予定額及び構成比 | 対前年度比較増減 | ||
---|---|---|---|---|---|
千円 | % | 千円 | % | 千円 | |
流動資産 | 3,021,496 | 8.2 | 3,295,449 | 8.9 | △273,953 |
固定資産 | 33,906,382 | 91.8 | 33,814,542 | 91.1 | 91,840 |
有形固定資産 | 15,841 | 0.0 | 19,847 | 0.1 | △4,006 |
無形固定資産 | 23,027 | 0.1 | 32,082 | 0.1 | △9,055 |
投資 | 33,867,514 | 91.7 | 33,762,613 | 91.0 | 104,901 |
合計 | 36,927,878 | 100.0 | 37,109,991 | 100.0 | △182,113 |
4 事務取扱に要する経費のうち、給与、旅費及び事業運営費の最高限度額
区分 | 平成30年度最高限度額 | 平成29年度最高限度額 | 対前年度比較増減 |
---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | |
給与経費 | 162,942 | 165,262 | △2,320 |
旅費 | 7,345 | 6,925 | 420 |
事業運営費 | 86,383 | 107,143 | △20,760 |
5 前各号に掲げるもののほか、総務大臣の定める事項
該当なし